エンタテインメントの正体
エンタテインメントとは、人を楽しませるもの。楽しむためのもの。娯楽。 『三省堂 大辞林 第三版』
現代でいえば、お笑い、アーティストのライブ、Youtubeなどの動画、多岐にわたるように思います。
それこそサーカスをエンタテインメントと指し示すのであれば、古代ギリシャのような紀元前からあるもの。
その時々の時代を象徴するようにエンターテインメントは発展してきた。
かなり広義的な意味合いもあり、特に現代社会では自由にエンターテインメントは発展している。
ただすべてのエンターテインメントに共通していえることは、人を楽しませることができるかどうか、ということ。
そこに技術があろうがなかろうがあまり関係がなく(あったほうがいいに越したことはないが)、そこにいわゆる大小を無理やり考えると、「観客数」というものが一つの指標になります。
2019年ライブ動員者数1位は「嵐」181万人。
2位に60万人近くの差をつけた圧倒的な人数差ではある。
ただ単純に数値のみを見てしまうと、正しくない。
なぜなら人口は右肩上がりに増えていたからである。
日本はこれから少子高齢化で人口動態が減ってはいくので、「動員数が減った」=「人気が落ちた」わけでは当然ない。
また、時代によっては見れる「劇場がない」という理由で動員数が少ないだけで、実際に数値自体にはあまり絶対的な意味はありません。あくまでひとつの指標になりうる、という話です。
例えばスターウォーズエピソード4が公開されたのは1977年ですが、このときはまだ世界でも上映される劇場数も少なく、最近出た興行収入の映画ランキングと同等か?というと一概には言えません。
個人的にはその時代に衝撃を与えた度合いでいえば、あの作品を抜けるものは少ないのではないでしょうか。
映画の数値は大きすぎて見えづらいものですが、サーカス自体の動員数はどんなものでしょうか。
あくまで日本の状態ですが、シルクドゥソレイユ:2016年トーテムが136万人ほどです。
1994年のサルティンバンコ56万人に比べると2倍以上です。
時代によってエンターテインメントを見る人が増えたのもあると思いますが、少しずつ増えています。
面白いエンターテインメントに共通していること
内輪受けのシーンがない
終わった後の余韻が良い
門や扉などのゲートがある
この3つが多いかな、と思います。
私も年間50公演ほどいろいろなジャンルのものを見に行きますが、最近面白いエンターテインメントとそうではないエンターテインメントに何の違いがあるのか、と考えることが増えました。
技術や派手なアクロバットな技があればいい、と考える時期もありました。
ただ、技術No1が世界一有名なエンターテインメントショーではありません。
技術No1だらけのオールスターショーみたいなものはいつか見てみたいですが、どちらかというと技術レベルがわかるわけではなく、ただ「技術No1」という看板に釣られていってしまうだけの気がしますが。。
特に面白くないエンターテインメントの特徴は明確で、
固定ファンがいて、楽しそうにしているのはいいんですが、初めて来場した人にとっては、「異様な空気」に見えてしまうことが多く、リピーターと新規のファン層は今後のエンターテインメントの課題になってきそうです。
どのエンターテインメントでも、熱狂的なリピーターによって、下支えされている時期と、大きく世の中に広まっていくときにいわゆる「にわか」ファンが大量に増える時期がありますが、実際の売上を支えるのはあくまで圧倒的なにわかファンであるケースが多いです。
熱狂的なリピーターが新規ファン層の取り込みに障害になるケースも多いと思います。
個人的に思うのは「ダンスショー」。フィギュアスケートを見た時も同様のことを思ったことがあります。
特にダンスイベントを見ているときの内輪受けシーンを見せられているときは正直楽しくありません。(すべてのダンスショーという意味ではありません)
終わった後に、スピーチをする必要もあまりないかな、と思います。
せっかく観客の気持ちが高まっているので、そのまま帰路につきながら話し合う、というそこまで含めてエンターテインメントの楽しみだと。
これって大企業のビジネスにも通じるところはあると思います。
技術を伸ばしていくこと自体は、リピーター・何度も来てくれるお客様を喜ばせることにとっては必要。
ただ、人間の求める需要、というのは意外と技術と喜びには比例するわけではなく、頭打ちが来ます。
特に初めて見ている人からすれば、技術レベルの高さを理解できるわけがありません。それが良い、悪いではなく、事実として理解できない人が多いということです。
これを解決するためには、2時間の公演のうち、10分~20分くらいは完全にメイン軸のショーとは別のイベントを毎回試し続ける、ということが大切だと思います。
当然答えはありません。毎回同じ公演をすること=人気が伸びていくわけではなく、リピーターをないがしろにするわけにもいきませんし、初めてのお客さんに理解できないレベルまで技術をあげていっても仕方ないので、必ず常に新規のファン層を取り込むためにもメインのショー以外の新しい試みは少なからず開示していく必要性があるのではないかな、と思います。
あとはよく言われる、ゲートがあるかどうか、というのは非常に大きいと思います。
今からエンターテインメントを楽しむ、というときには五感を研ぎ澄ませていたいので、できればカメラ撮影がない公演のほうがやはりいい公演が多いと思います。
※ほんの一部の撮影などは良いと思いますが。
また、「期待を上げすぎない」というのも何気に大事な要素の一つかとやはり思います。
角度がついたときに人間の楽しさというのは刺激されると思うので、この角度をつける、という作業と、間延びしないような構成が絶妙なバランスであることが楽しいエンターテインメントの条件だと最近は考えています。
参加型であること、ということも昨今では加えていきたいですが、やはり課題も多いですね。
参加する前から準備が参加者にも強制できるのであればある程度できますが、それはやはり厳しい。
どんなお客様が来ているときでも最高のエンターテインメントになるか、といわれればやはり難しい。
イマーシブイベントのいいところは参加者も参加できることですが、ほかの参加者の没入感を阻害する、ということに直結しかねない危うさが大きい。
ここをクリアすることができればイマーシブイベントがもう一段回盛り上がると思います。